小劇場はコロナ禍をどう乗り越えたのか? 「エンタメ不要不急」と言われた3年間 Vol.2【中村未来】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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小劇場はコロナ禍をどう乗り越えたのか? 「エンタメ不要不急」と言われた3年間 Vol.2【中村未来】

 

◾️「ぽけふぇす」で中野から演劇を発信

 

 とはいえ、ただ悲観しているわけではない。ポケットスクエアでは、コロナの余韻を吹き飛ばす新しい仕掛けを展開中だ。

 「14劇団が連日公演を行う『ぽけふぇす』を現在開催中です。一ヶ月の間にここに来れば、何かしら面白い芝居を観ることができます。9月に劇場HOPEで公演する『ナミプロ』さんは、TVドラマの脚本家としてもおなじみの秦建日子さんが担当しています。ザ・ポケットの『少年社中』さんは最近舞台でも活躍中の生駒里奈さんが出演されるなど、見どころも多いです」

 共通チケット、「ぽけぱす」を購入すれば、期間中好きな3団体を選んで観ることができる。一般料金は11000円と通常料金よりもかなりお得だが、学生に至っては5500円と大胆な料金設定。

 「世の中どんどん値段が高騰していって、今は芝居だって当たり前に高いですよね。おいそれと観ることができないんですよ。チケット代の高騰については、劇場サイドも考えていかなければというのは、親しい劇場さんとよく話しています。だから学生さんにはこの期間、5500円握りしめて中野に来てほしいです」

 劇場を盛り上げるのと同時に、若い世代を取り込むことも寺戸氏の今後のミッションのひとつだ。

 「今回の『ぽけふぇす』も、本当は若い劇団を一つ入れたかったんです。でもお願いできる団体がありませんでした。実際に私の周りでは、若い演劇人が昔に比べて随分減ったと感じています。最近はYouTubeなど、集団より個の時代ですからね」

 「それでも動かないと、演劇の未来はない」と寺戸氏は危惧する。

 「このイベントをしたところで、どれだけの意味があるのかはわかりません。でも何もしないままだったら10年後、20年後本当にまずいと思うんですよ。もう一度、演劇って面白いと思う人が増えてほしいです」

 

文:中村未来

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✳︎告知✳︎

ぽけふぇす!

日:2023年8月21日(月)~9月18日(月・祝)

場:ポケットスクエア

(ザ・ポケット 劇場MOMO テアトルBONBON 劇場HOPE)

料:各団体により異なります。

HP:https://www.pocketsquare.jp/pockefes/

問:各公演の詳細は団体HPにてご確認ください

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中村未来

なかむら みく

ライター

1988年生まれ。玉川大学芸術学部卒業。学生時代からライター業をはじめ、書籍や雑誌、パンフレットなど、ざまざまな媒体で執筆。現在は演劇をはじめとしたエンターテイメント関連の取材執筆が中心。ライター業とともに、舞台やラジオなどのシナリオライターとしても活動中。

■個人サイト『演劇ライター中村未来の長竹ノーバン!』

https://nagatake-nobound.com/

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